大塚隆一

中国の情報発信力が一段と高まっている。 。。。日本に駐在していた外国メディアは次々と拠点を中国に移しつつある。この結果、中国寄りの報道が増えていく恐れがある。政府は米紙ロサンゼルス・タイムスの尖閣報道が「中国側の主張に偏っている」と抗議したが、この記事も北京発だった。 一方で中国の国営メディアの海外進出は加速。中国語普及を図る国策機関「孔子学院」も急増している。 長期的に注視すべきなのは海外留学、特に米国留学の増加だろう。彼らが米国で築く人脈は日中の情報戦でボディーブローのように効いてくるかもしれない。 日本は南京虐殺といわゆる従軍看護婦をめぐる論争で苦い経験がある。 多くの欧米メディアは、南京の犠牲者は「30万人」、慰安婦は「性の奴隷」などとする中韓側の一方的な主張を歴史的事実と誤解して伝えるようになった。 国力が一段と増した中国との情報戦はさらに険しいものになっていくだろう。 。。。日本が国際法の尊重を訴え続けていくのはもちろん重要だが、中国のような大国を相手にした場合の限界は忘れない方がいい。 そして、鍵を握る情報発信では、あらゆる手立てを駆使し、国を挙げて取り組むことが必要になる。 この記事への意見